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2003年11月

2003年11月の海外旅客船情報

ウイルスの命中したクルーズ船はジブラルタルへ(英国)

弁護士らは、P&Oの極上船、Auroraに乗船していて病気になった乗客らが、台無しになった休暇の賠償金を、各自 6,000ポンド以上請求する準備をしている、と警告している。

この船では、400人以上の乗客が強い感染力のある胃腸ウイルスに襲われたが、既にギリシャを離れ、現在、ジブラルタルに向かってい る。 しかしジブラルタルの当局者は、接岸を許可するか否かまだ決めていない。約430人の乗員・乗客らがウイルスに感染した。本船には 1,800人近い乗客と、900人以上の乗員が乗船している。

Irwin Mitchell事務弁護士のInternational Travel Litigation Group(=国際旅行訴訟団体)の共同経営者、Clive Garnerによると、P&Oに対する請求額は、総額で250万ポンドに上るという。

Garner氏は次のように話した。「MS Auroraで最近発生した病気の件で、P&O Cruisesに対し法的手段に訴えることを希望する数人の方から既に照会があり、もっと増えるものと見ています。」

この76,000トンの船の乗客は、10月20日に地中海に向けてサウサンプトンを出港後、強い感染力を有するノロ・ウイルスで発病し た、と船主のP&O Princess Cruisesの広報担当者は話した。

本船は、予定では月曜日にジブラルタルに到着することとなっており、サウサンプトンには水曜日に戻る見込み。 (Telegraph.co.uk: 01/11/2003)

スペインはクルーズ船に対しジブラルタルとの国境を閉鎖(英国)

ジブラルタル発。ウイルス性伝染病に罹患した乗客を乗せたクルーズ船がジブラルタルに接岸することから、スペインはこの20年間で初め て、ジブラルタルの小さな英国植民地との国境を月曜日に閉鎖した、とジブラルタル政府は話した。

24時間続く伝染病に罹患した何百人もの英国人観光客を乗せたクルーズ船Auroraは、月曜日の朝にジブラルタルの港に到着した。

「当局者から、午前7時(0600 GMT)に国境を閉鎖した、という連絡を受け取りました。」とある政府広報官は話した。

この閉鎖は、実際上、ヨーロッパ本土とこの植民地とを断絶するものであるが、スペインとジブラルタル間の国境を1985年に完全再開し て 以来、初めて閉鎖するもの。地中海の入り口にある岩の露出した戦略上の拠点であるジブラルタルの主権を巡っては、スペインは長年英国と論 争をしてきており、スペインの独裁者Francisco Franco将軍が1969年に国境を閉鎖したことがある。

ジブラルタルでは11月27日の総選挙の準備をしており、主要な両候補者は、1713年のユトレヒト条約によって英国に割譲された 「The Rock(=岩山)」の主権を回復しようとするスペインの如何なる試みに対しても、激しい抵抗を演壇上で展開している。スペインは、長年に亘りジブラルタルを取り戻そうと してきた。

日曜日の深夜、ジブラルタル政府は、月曜日にAuroraが接岸することを許可したが、罹患した者が下船することは許可しない、と話し た。

Auroraはギリシャのピレウスで当局者に乗員・乗客の上陸を拒否された金曜日以降、ジブラルタルを目指してきた。(後略) (Reuters: Mon November 3, 2003 02:38 AM ET)

ばい菌に悩まされているクルーズ船で2人死亡(英国)

ばい菌に襲われたP&O Cruisesの船、Auroraに乗船していた2人の乗客が死亡したと、今日、この会社は発表した。しかしP&Oは、この数日間、豪華客船の乗客約500人を苦 しめているノロ・ウイルスと死亡とには「関連性がない」と話している。

会社の広報担当者は次のように話した。「今回のクルーズ中にお二人のお客様がお亡くなりになったことは確認できます。しかしお二人と も、 ノロ・ウイルスとの関連性がないことは、強調しておかなければなりません。」

このクルーズ船は1800人の乗客を乗せて、ウイルス性胃腸炎に付き纏われた16日間航海の最後の行程を航海中だ。木曜日の朝に、サウ サ ンプトンに到着することとなっている。(The Times: November 05, 2003)

ハリッジ:投票でDFDSが最高のフェリー会社(英国)

ハリッジから2隻の新船を就航させた海運会社が、最高の旅行賞を獲得した。

DFDS Seawaysは、Daily Telegraphの読者投票で英国最高のフェリー会社に選ばれた。

4月にドイツでハリッジ―クックスハーフェン航路のMs Duchess of Scandinaviaが就航し、2ヶ月遅れでMs Dana Sirenaが、ハリッジとデンマークのエスビア間に就航した。両船とも評判が良く、夏中、殆どの便が予約で満員であった。

DFDS Seaways UKの営業市場担当取締役Matthew Eastlakeは、次のように話した。「当社の2隻の新しいハリッジの船の反響に、大変喜んでおります。」(This is Essex: Wednesday November 5, 2003)

QE2の旅立ち 30年後豪華船は大西洋の外に向かう(英国)

何百万人もの乗客を運び、地球を230周したQueen Elizabeth 2は、大西洋を横断する最後の旅にまもなく出発する。NPRのSusan Stambergは、この偉大なる旅客船の旅行に、視聴者を誘うこととなる。

QE2の英国の運航会社のCunardは、米国の巨大クルーズ会社Carnival Corpに保有されている。しかし船長のIan McNaughtは次のように話している。「いわゆるクルーズ船ではございません。定期旅客船なのです。」

船上の図書室、カジノ、犬小屋、スパからハロッズの百貨店に至るまで、豊富な贅沢に触れてみたい。

QE2は1969年以来運航してきたが、まもなく最後の大西洋横断航海を行う。しかし地中海と北ヨーロッパでの航海は継続する。更に大 型 のQueen Mary 2は、2004年に大西洋横断を引き継ぐ。(NPR: Nov. 6, 2003)

洋上での病 乗客は病気の命中した船上での試練を「監獄だ」と語る(英国)

胃腸ウイルスで「監獄船」と化したクルーズ船の乗客らは、昨日英国に接岸したとき、「神様のおかげで帰国できました」と叫んでいた。激 しい嘔吐と下痢の原因となる感染力の極めて高いノロ・ウイルスによって大混乱となったP&OのAuroraでは、600人の犠牲 者が、船内で隔離を強いられていた。

17日間に1500ポンドから5500ポンドを支払った多くの乗客は、P&Oに損害賠償を求めると話していた。船は午前6時に 母 港のサウサンプトンに接岸した。

退職した夫婦であるAlとJean Boothは、遂に陸地に降り立った時、悪夢だったと表現した。

スタフォードシャーのカンノックの69歳のJeanは、次のように話した。「神様のおかげで帰国できました。2日目にウイルスに罹っ て、 休暇は台無しでした。癌の化学療法を受けておりまして、気分転換にクルーズに出掛けたのですが、もう大災難でした。私達にとっては本当に 地獄の休暇で、終始寝たきりだったんですよ。」

道具職人だった76歳の夫は、「医者や職員は立派なものでしたが、このウイルスの勃発で、本当に私達の息抜きは台無しになりました。」 と 話した。

年金生活者のColinとValerie Daviesは、7万6000トンの船での様子を次のように語った。

60代のチェシアのColinは、「そのばい菌は野火のように広がって行きましたよ。指で何かに触れたら、それだけで移ってしまうよう で した。」と話した。「終いには、みんな体の一部を使って物事をするようになったんです。エレベータの中では、膝を使ってボタンを押してい ました。夕食の時は、肘で塩の載った棚を回していたんですよ。バーで酒を注文したときに手袋をしていた人も見かけたくらいです。」

マンチェスターの17歳のKirsty Simpsonは、下船時にまだウイルスに罹患していた。公共交通機関を利用することが許されないので、タクシーを利用して自宅までの長旅をすることになった。

チャンネル4のWife Swap(=人妻交換)という番組に出演しているMichelle Seaborn(35)も、夫のBarryと共に岸壁に来ていた。36時間も病気で寝込んだMichelleは、すぐさま訴訟を提起する意思を表明した。

「あれは完全な悪夢で、もう二度とクルーズなんかには行かないです。この船で人質になったんで、訴えてやるんです。ジブラルタルに着い た 時、飛行機で帰ろうと切符を持っていたんですが、船員は私達の旅券を返してくれなかったんですよ。」

グレーター・マンチェスター、ヘイウッドの、夫のBarry(43)は、「到底、上手くやっていたとは思えないね。」と話した。

1800人の観光客のうち580人と、屈強な800人の船員のうちの29人が、このばい菌に倒れた。ドゥブロブニクやベニスでは、ウイ ル スに罹患していない者だけの上陸が認められたが、ギリシャ政府は、この2億ポンドの船がピレウスに接岸することを拒否した。

更にこの船は、ジブラルタルでは領土問題の渦中に立たされた。スペイン政府はRockに通じる国境を閉鎖し、Jack Straw外相は、この動きを「不必要かつ不適切」だと表現した。

P&O Cruisesの常務取締役のDavid Dingleは、乗客に謝罪するために船を出迎えていた。

船はチャンネル諸島への3日間クルーズに昨夜出港する前に、「完全消毒」に取り掛かっていた。(Glasgow Daily Record: Nov 7 2003)

ロシア極東の港が韓国のフェリーに開放(ロシア)

11月7日、ウラジオストク発。金曜日(モスクワ時間との時差は7時間)ウラジオストクに到着したDong Chunフェリーは、韓国の束草(ソクチョ)と沿海州の州都との間で、定期貨客船の運航を開設した。

ウラジオストク商港の広報によると、束草(ソクチョ)と沿海州のカサン地方(ロシア、中国、北朝鮮国境の交差する地域)にあるザルビノ と のフェリーは、3年前に始まったものだという。

中国の吉林(チーリン)省にある朝鮮人自治区のYangbengへの最短の陸路がザルビノから出ている。この地方には多くの山脈と峡谷 が あり、そこは朝鮮人にとって神聖な場所であり、多くの観光客と巡礼者を惹きつけている。

この新しい航路は、ザルビノの南東150kmにあるウラジオストクにまで車で移動することを強いられてきた両国の大勢の実業家達にとっ て、大変に便利なものである。

Dong Chunフェリーは、一度に20フィート・コンテナ120個と数ダースの自動車、460人の乗客を輸送する能力があり、疑いもなくウラジオストク商港の貨物・旅客の回転率 を向上させることになる。(RIA Novosti: November 7)

クルーズ・シーズン始まる(フォークランド諸島)

2003/04年シーズンが始まり、今週、3隻のクルーズ船がフォークランド諸島に寄港する。日曜日にはQE 2とExplorer IIがスタンリーを訪れる。月曜日にはExplorer IIが、ジョージ島、バーレン島に向かう。

火曜日にはClipper Adventurerがウェスト・ポイント島、カルカス島に寄港し、その後、水曜日にスタンリーに到着する。

トドとブレーカー諸島がClipper Adventurerの寄港を木曜日に迎え、同じ日、Professor Molchanovがカルカス島とサウンダーズ島にやって来る。(MercoPress: Sunday, 9 November 2003)

フェリー運航の誓約(英国・フランス)

ガーンジー島政府は、瀕死のフェリー会社Emeraudeの新しい所有者に対し、ガーンジー島―サン・マロ間の運航支援を要請すると話 している。

財政諮問委員会の委員は、100人以上の地元住民が、政府に対してEmeraudeの将来に関し行動に出るよう要請する運動を支援して い ることから、これを誓約した。

同委員会は水曜日に会合を開き、同じ日に、この会社の新しい所有者がフランス裁判所の管財人Sophie Gautierにより任命されることとなる。

ジャージー島のSave Emeraude Group(=Emeraudeを救え集団)は、ガーンジー島の応援が受けられて大変に喜んでいると話した。

Emeraudeは、約400万ユーロの負債を抱え、10月にサン・マロで会社更生の申請を行った。ジャージー島のある一族が Emeraudeに入札しており、また別の入札がフランスの会社Compagnie Nationale de Navigationによってなされている。(BBC News: 9/11/03)

インドのフェリー事故で15人死亡(インド)

インド南部のアンドラ・プラデシュ州でフェリーが転覆し15人が死亡した、と警察は話している。

50人が乗船していた船は、月曜日の朝、ゴダバリ川のRamachandrapuram村近くで沈没した。35人が泳いで助かった。

この州で起きた船舶事故は、先月以来2度目。10月初旬にクリシュナ川で船が転覆したときには、29人が溺死した。(BBC News: 10/11/03)

ポート・カナベラルに巨大新船到着(米国)

フロリダ州ポート・カナベラル発。Royal Caribbeanの巨大クルーズ船Mariner of the Seasが、2隻の曳船、1隻のブレバード郡保安官船に護衛されて、ポート・カナベラルに今日到着した。

この3,800人乗りの旅客船は、荒天に遭遇したため速力を落として大西洋を横断してブレバード郡の海港にやって来なければならなかっ た、とRoyal Caribbeanの広報担当者、Jaye Hiltonは話した。

本船は午前7時頃港に到着し、予定より30分しか遅れなかった。Mariner of the Seasは、午前7時30分にCruise Terminal 9/10に接岸した。

「あら、何て美しい船なんでしょう。」 ポート・セント・ジョンのJanice Reddish(60)は言った。「とってもたくさんのバルコニーがあって、ここのどんな船よりもずっと大きいわ。」Reddishはポート・カナベラルで、夜明けの到着 を見物していた数百人の中の1人である。

Mariner of the Seasは、日曜日にポート・カナベラルから通年、1週間カリブ海航海を始める予定だ。しかし最初は、旅行業者相手に水曜日に出発する2泊の「前人未踏のクルーズ」に使用 される。

本船はフィンランドで建造され、最新の海軍の航空母艦と同じ位の大きさ。Mariner of the Seasは5,020人収容(船員も含む)、全長1,020フィート、138,000トン(注、総トン数)。これは、6,000人乗り、全長1,092フィート、 98,000トン(注、排水トン数)の航空母艦、USS Ronald Reaganに匹敵する。

到着時の警備は厳重で、クルーズ・ターミナルへの交通は制限された。(FLORIDA TODAY: Tuesday, Nov. 11, 2003)

クルーズ船で働かない?(米国)

キング郡発。Norwegian Cruise Lineの米国商標、NCL Americaは、ハワイから運航することとなる2隻の新船で働く労働者を募集している。この会社は、レントンの919 S.W. Grady WayにあるWorkSource Renton(=レントン職業安定所)で、11月13日木曜日に開かれる就職説明会において、応募を受け付ける。

就職説明会は、午前9時から午後5時まで予定されている。入場は無料。応募者は米国籍を有する者かグリーン・カード(=外国人向け永住 許 可書)保有者であること。求職者は履歴書持参。会場にて面接を行う。

NCL Americaでは、船上での仕事の資格保有者を求めている。とりわけ飲食管理、調理、給仕、家事の職種では応募資格となっている。更にPuget Sound地方で50人から75人雇用することとなっていて、NCL Americaでは資格のある地元民に雇用の機会を提供することとなるものと見ている。

NCL Americaでは、新年に米国船籍のPride of AmericaとPride of Alohaで働くことを希望する者を探している。Pride of Americaはこの会社の新しい米国旗商標、NCL Americaの下で運航し、100パーセント米国人士官・船員が乗務する。約50年ぶりに米国船籍で運航する新しい遠洋旅客船となる。本船は2004年7月にハワイで運 航を開始し、ホノルルからの7泊の島嶼クルーズを行う。Pride of Alohaは2004年10月に、同様の旅程で始める見込み。(後略)(KOMO: November 11, 2003)

DEPはクルーズ船の汚水に対し州政府の管理を求める(米国)

ポートランド発。海洋環境管理者は、州沿岸海域を航行するクルーズ船から排出される汚水に対し、州政府はより管理を強化するよう求めて いる。

環境保全局の報告書は、50隻以上の旅客船に州政府は訪船し、料金を支払わせることを求めている。更に、いわゆる「灰色の水」、すなわ ち 便所を除くシャワーや厨房、その他から排出される汚水に対して、新たな許可制限を課すことを示唆している。

この要請が州議会によって採択されたならば、Casco Bayを含む州の主要な船舶航行海域は、クルーズ船からの下水その他の汚水の「投棄禁止海域」となる。(WMTW: Wednesday, November12, 2003, 8:16 AM)

豪華定期船Qm2が試験航海終了(英国)

世界最大かつ最高価な英国船籍のクルーズ船、Queen Mary 2 (QM2)が最後の試験航海を終了し、最高速度時速34マイルを達成した、と今日発表された。

5億5000万ポンド、2,620人乗りのCunardのフラグシップは、クリスマスあたりに母港のサウサンプトン港から航海に出るこ と となっている。

女王陛下は、2004年1月8日のサウサンプトンでの豪華な式典で本船を公式に命名される。その4日後にフロリダへの処女航海に出発す る。

「この試験でQueen Mary 2がかってない最高の大西洋横断定期船となることが、再び証明されました。」とCunardのヨーロッパ上席副社長Peter Shanksは話した。「その堪航性はふたつとないもので、1月に初めて乗船されるお客様を気絶させることとなるものと確信しております。」と続けた。

この全長1,132フィートのQM2は、現在、建造しているフランス西部のサン・ナゼールのAlstom Chantiers de l’Atlantiqueに戻っている。

来年の4月から、この新船はCunardのサウサンプトン―ニューヨーク航路をQE2から引き継ぐ。QE2は別の航路に就航する。 (The Scotsman: Thu 13 Nov 2003 3:31pm (UK))

ドイツのクルーズ船(インド)

小さな村の施設を備えたクルーズ船「AIDAcara」が、大勢のエリートのドイツ人観光客を乗せて木曜日の朝早く(11月11日)マ ルマガオ港に接岸した。多くの人はインドへの初めての航海であった。

Lutz Leitzsch船長は、乗客の多くはゴアを訪れるのが初めてで、本当に訪問を楽しんでいるとして、ゴアとインドへの航海を大変に意義深いものだと述べた。(GOACOM DAILY NEWS CLIPPINGS: 14 Nov 2003)

QM2の家族招待日が悲劇に(フランス)

世界最大のクルーズ船Queen Mary 2の建造に携わった者にとって、楽しい午後になるはずであった。

フランス西部のサン・ナゼールにあるChantiers de l'Atlantique造船所のどっしりとした大きな船の周りで、誇らしげな父親達が雨の中、家族を案内していた。

家族と興奮していた子供達が、この150,000トンの船への通路を横断していたとき、金属製の構造物は崩壊した。人々は恐怖で金切り 声 を上げ、その多くは75フィート下にあるコンクリート製の乾ドックに叩きつけられた。足場が緩んで、その上にいた者が下に落ちたのだった。

少なくとも6人の子供を含む13人が死亡して約30人が負傷し、うち9人が重体である。この事故で負傷した男性の1人Jason Schmidtは、フランスのテレビに対して、通路の上に人が多すぎて崩落したものと思うと話した。

ナント県の広報官Jean Guerinは、次のように話した。「人々は叫び、うめき苦しみ、愛する者を探そうとしていました。怪我はそれは酷いものでした。」

救助隊は怪我人から死者を明確に分類し、怪我人を待機していた救急車へ船台から運び出した。2マイル離れたサン・ナゼールの病院に搬送 さ れた怪我人の他、ナント市近郊にヘリコプターで運ばれた者もいた。

Guerin氏は次のように話した。「そのギャングウェイ(=通路)は、前日に45度の角度で船の側面に掛けられていました。最も高い と ころで地上から10メートルありました。崩壊と人が落ちた原因はまだ判っていません。埠頭に叩き付けられた人、下のコンクリートの上に落 ちた人もいました。」

夜がふけてからも、本船の周囲は捜査官がこの悲劇の原因を確定するために立ち入り禁止となっている。上空を飛ぶヘリコプターが、いつま で も続く雨の中、非常灯の下で作業している捜査チームの姿を映し出していた。その映像では、巨大な船体の下に、ぐにゃぐにゃになった白い金属製の梯子がぶら下がっているよう なものが見えていた。

当局者は、この大事故はフランス最大の造船港であるサン・ナゼール港を襲った最悪のものだと語った。地元市長のJoel Batteuxは今にも泣き出しそうであった。「皆、大変悲しんでいます。」と語った。「この港は、それ自体が一つの世界なのです。建造した船を引き渡す時の喜びの素晴ら しい瞬間を分かち合ってきた家族なのです。今回の出来事は、かってない最も困難な瞬間の一つとなりました。」

更に続けた。「何が起きたのかを正確に話すには早過ぎます。既に始まっている調査を待つ必要があります。事故に巻き込まれたご家族のこ とを思っています。サン・ナゼールでは、誰もが本船の建造にかかわっていることを知っています。」

今日、Jacques Chirac大統領は現場を訪問して、国家としての弔意を表明する。QM2は、成功と考えられる2度目の試験航海から戻ってきたばかり。この新船は多くの造船の記録を破っ ている。これまで建造された最長の、最も背が高く、最も幅の広い船である。(後略)(Telegraph.co.uk: 16/11/2003)

フェリー会社の赤字削減で70人近くが失職の危機(英国)

高速フェリー運航者のSeaCatが赤字削減計画を作成したことで、ベルファストの70人近い雇用が今夜俎上に上った。

この会社では、ベルファストとスコットランド間の運航を年間10ヶ月から8ヶ月に減便することを検討している。旅客の減少は、低価格の 航 空会社の出現によるもの。

SeaCatはアイリッシュ海における高速フェリーのパイオニアであるが、運航主任のJohn Burrowsは、長年に亘って同航路では赤字を出していたと語った。

「他の事業やあなたの家計と同じで、長期間に亘って赤字を出し続けると、維持できなくなるものです。」

この会社は高速フェリーをベルファストとスコットランドのトゥルーン間で、3月から1月まで運航している。

来年の3月に船が法定検査のためのドック入りから戻ってきた後で減便が実施され、11月まで運航し、その後冬季間の4ヶ月間は運休する も のと見られている。(後略)(The Scotsman: Mon 17 Nov 2003 5:40pm (UK))

洋上の鉄路(中国)

渤海(ボーハイ)湾を横切る煙台(イエンタイ)―大連(ターリエン)鉄道連絡船事業の工事が、週末に沿岸都市で始まった。

計画の煙台(イエンタイ)部分の事業は、12キロの鉄道と鉄道連絡船の埠頭を含むものである。初期建設作業は、陸上の総面積56ヘク ター ルと海底の50ヘクタールにおいて行われる。

Zhongtie Bohai Railway Ferry Coが、建設と事業経営を担当する。煙台(イエンタイ)運輸委員会の消息筋によると、鉄道省、中国東部の山東(シャントン)省、中国北東部の遼寧(リャオニン)省の大連 (ターリエン)市、及びChina Railway Civil Engineering Coから資金を引き出すこととなるという。

この事業の総投資額は、23億5000万元(2億8400万米ドル)。鉄道は2006年6月に運行を開始するものと見られている。

この事業は、中国における一連の海上輸送航路の最新のものである。Yuehai鉄道連絡船は1月に運航を始めており、南中国の広東(コ ワ ントン)省と海南(ハイナン)省を結んでいる。

煙台・大連航路は、大連の旅順(リューシュン)地区のYangtouwaから出発し、煙台のSitudiが終点となる。

同航路は遼東(リャオトン)半島の南端と山東(シャントン)半島の北部とを渤海(ボーハイ)湾を横切って結ぶもの。直線距離にして 79.4海里(147キロメートル)である。

専門家は、このフェリー航路は中国北東部と南部の好景気の揚子江(ヤンツーチアン)デルタ地帯とを結ぶ鍵になると話している。

北京や天津(テンチン)を迂回する既存の鉄路よりは、約400キロから1000キロ短縮される。同航路により、毎年少なくとも60億元 (7億米ドル)の鉄道輸送経費が削減されることとなる。(China Daily: 2003-11-18 01:05)

フェリー事業者のP&Oは500人削減(英国)

フェリー事業者のP&Oは、カレー―ドーバー間の海峡横断航路において、525人の人員を削減する計画であると発表した。

整理解雇は、来年までにカレー―ドーバー航路から、8隻のP&Oのフェリーのうち1隻を廃止する戦略の一環となる。この動き は、 旅行業の不振と格安航空会社の成長によって生じたもの。

P&Oでは、これによって今年1500万ポンドにまで利益を圧縮することとなるが、年間の経費節減の総額は、ほぼ同額となると 話している。

「こうした経費削減の提案を発表しなければならないことを残念に思いますが、現在の難局を乗り切るためには不可欠なものであると信じて い ます。」とP&Oの常務取締役Russ Petersは話した。会社は「本年の始めに見られた観光事業の失望するような傾向」の直撃を受けているという。

先週、P&Oは鍵となる夏季シーズンの海峡横断の予約の低下を報告した。この夏季の予約低下は、本年前半の6ヶ月間における最 大 の落ち込みに起因するものであり、P&Oのフェリー事業は、上半期において1750万ポンドの赤字となった。

P&Oでは、ポーツマスとノルマンディーのカン間の新しい高速双胴船の運航に期待している。これは横断時間を5時間にまで短縮 す るものであり、落ち込みとの戦いに役立つことだろう。

P&Oのフェリー事業は、英国とアイルランド、ヨーロッパ大陸間で展開されているが、この会社の事業全体の約5分の1を占めて い る。P&Oの事業の大部分は、コンテナ海運と港湾経営。(BBC News: Tuesday, 18 November, 2003, 17:36 GMT)

クルーズ産業は落ち込み予想(ニュー・ジーランド)

米国人観光客が本国から遠いところへ旅行することに気乗りしないことから、今年の夏の地元クルーズ船産業では、その直撃を受けるものと 予想されている。

Cruise New ZealandとTourism New Zealandによる経済効果調査によると、クルーズ船産業は昨年の夏、経済界に対して1億7200万ドルの消費を直接もたらしたと結論付けている。しかしこの数字は、今 年の夏、1億2500万ドルに落ち込むものと見られている。というのは船舶寄港回数が62回から44回に、乗客数は43,000人から 38,000人に落ち込んでいるからである。

Cruise New Zealandの会長Craig Harrisは、この落ち込みはクルーズ船客の82パーセントが北米の人であるからだと話した。

「世界的な不安の継続で多くのアメリカ人が本国から遠くに旅行に出掛けることを躊躇うことになり、多くのクルーズ船が、米国本土に近い ところを本拠にしているからです。」

クルーズ市場は過去10年間に400パーセント成長したが、今シーズンの低下は短期間のもので、2004年2005年シーズンには昨年 の 夏の水準に復帰するものと見られている。

この市場経済顧問による調査では、クルーズによる消費により、2660人の常勤雇用を生み出すものと見積っている。(New Zealand Herald: 20.11.2003)

検察官はトラックの積荷が貨物法令に抵触しているか否かを判断することに(ギリシャ)

ピレウスの検察官は昨日、水曜日朝、フェリーKnossos Palaceで発火したトラック貨物の化学物質が、危険貨物に関する既存の規則に違反しているかどうかを決定するための初期捜査を命令した。この捜査では、車輛の積荷を検 査する責任がある港湾当局が必要な検査を実施していたかどうかについても判断する。

一方、イラクリオン警察では、700グラム以上のヘロイン、200グラム近いコカイン、500グラム以上の媚薬を車内で発見し、水曜日 に クレタ島のこの船から下船した2人の男性を逮捕したと話した。(The Kathimerini: 21/11/03)

豪華クルーズ船の修復で雇用確保(英国)

豪華クルーズ船がノーフォークの造船所で分解修理中であるが、最近、ここで700万ポンドをかけて世界で唯一現存する外洋外輪汽船の修 復を終えた。

Hebridean Princessは通常は49人の観光客を乗せてスコットランドの西部海岸を周遊しているが、現在、ヤーマスのGeorge Prior Engineeringで冬季修理中である。

今年始め、この会社は外輪汽船のWaverleyの大修理を終え、船は1947年の処女航海当時の外観に戻った。会社ではまた、ロンド ン で水上パブ兼食堂として使用されていた旧外輪汽船のTattershall Castleの修復工事という大契約を勝ち取っている。

George Prior Engineeringの取締役Guy Frankhamは、こうした船の仕事で約50人以上の雇用が造船所に生まれると話した。

「こうした事業は、この地域の雇用と、失われつつある伝統的技術を維持する上で助かります。歴史的な船舶の修理と修復の専門家として当 社 をご覧になって戴けることで、身が引き締まる思いです。更なる成功を見据えております。」

Hebridean Princessは1965年にスコットランド沖に就航し、1989年に全面改修を受けてからHebridean Island Cruisesのフラグシップとして航海を始めた。(中略)このクルーズ船では、個別にデザインされた船室と、図書室や体育室のような娯楽設備の使用を乗客に提供してい る。(Norfolk Eastern Daily Press: 21 November 2003)

フェリーKalakalaの移動でトラブル(米国)

シアトル発。フェリーのKalakalaは新しい家が必要だ。しかも早く。

11月30日の日曜日までに、Lake Unionから運び出すこととなっている。このフェリーの新しい所有者Steve Rodriguesは、Kalakalaは間に合わないと主張しているが、ここに新たな問題が発生した。Rodriguesが思ってもみなかった問題だ。

「Kalakalaを移動させなければならないのですが、Ballard Locks(=水門)が閉鎖されているんです。12月5日まで閉まっているので、フェリーを6日まで海に出すことができないのです。」と説明した。「ということは、ここに 当座の場所が必要になるわけです。」

障害はあるものの、Rodriguesは何箇所かにKalakalaを喜んで持っていくと話している。最終的には、この古いフェリーを 修 復して、洋上食堂、博物館にすることを希望している。(komo 4 TV: November 23, 2003)

アホの船(米国)

共和党と言えば、ニューヨーク市ではGOP(=共和党)が大統領指名党大会を開く来年、盛大に歓迎する計画をしている。

悪すぎる政府与党の指導者Tom DeLay(共和党、テキサス州選出)は、スタテン島のVito Fossella共和党下院議員にそそのかされており、こうした動きはニューヨーク市民に仕事を与える意図があるように思われる。あるいは、恐らくもっと正確に言うと、彼 の意図はニューヨークに仕事を与えるところにあるのだろう。

DeLayは、来年8月と9月の多くの党関係の大会と資金集めの行事のために、クルーズ船を傭船してハドソン川に係留することを決めて い る。

DeLay側の人間は、党大会の代表者や参加者のために予約されている市内の22,000のホテルの部屋よりは、クルーズ船の方が「安 全 だ」と主張している。バカなお話だ。

安全性がそんなに問題ならば、そもそも何故ニューヨークなんかに来るのだろうか?(その件で言えば、DeLayは、最近、豪華クルーズ 船 で突如として発生している例のけったいな病気についてはご存知ないのだろうか?)

それはさて置き、過去数ヶ月間に亘ってBush大統領とDick Cheney副大統領が公式行事や選挙資金集めに何度も訪れていない程、この街がとても安全でないというわけではないのだ。

更に言えば、何人かのGOPの上院議員が指摘しているように、DeLayの考えは、この政党の最高のイメージを正確に描き出しているも の ではない。つまり共和党員が、Ground Zero(=爆心地)から少し上流にあるハドソン川に係留された豪華船でのパーティーに出掛けるものだろうか?DeLay下院議員が自身の安全をそんなに心配するのなら ば、恐らく自宅に留まるべきだろう。

さあ、Grand Old Party(=共和党)のニューヨークでの大会に出掛けよう!(New York Post: November 24, 2003)

船上の乗客に病気が発生した模様(米国)

フロリダ州、フォート・ローダーデール発。別のクルーズ船で乗客に病気が発生した模様だ。

Carnival Cruiseの船「Legend(=伝説)」が金曜日、ポート・エバグレーズを出港した。火曜日の夜Channel 10と連絡をとった乗客が、船上の何百人もの乗客が胃腸ウイルスに罹患していると連絡してきた。しかしCarnivalはこの報告を確認 していない。船は火曜日にバルバドスを出発し、土曜日にポート・エバグレーズに帰ってくる見込みだ。

この船の前の航海では、約100人の病気の乗客を乗せて陸地に先週戻ってきたばかり。(Click10.com, FL: 7:31 AM EST November 26, 2003)

タスマニアのフェリー運航50パーセント増(オーストラリア)

今年6月までのフェリー運航によるTT-Lineの収益は、57パーセントにまで増加した。

今日、タスマニア議会に提出されたこの会社の年次報告によると、今年50万人以上を輸送し、前年度よりも45パーセント増加した。

年次報告書ではまた、メルボルン―デボンポート間の乗用車輸送台数も49パーセント上昇し、貨物コンテナは75パーセント上昇したとし て いる。TT-Lineは今年260万ドルの営業収益を上げた。

タスマニア知事のJim Baconは、議会に対してTT-Lineの年次報告書には、2隻の船がタスマニア州に輸送した訪問者数の記録も載っていると話した。

「TT-Lineは181,566人の訪問者を輸送し、3億2600万ドルが州内のすべてのタスマニアの事業にもたらされた。」と Bacon氏は語った。「船への食料その他の供給で、会計年度期間中、タスマニアで3300万ドル以上の消費があった。」(ABC News Tasmania: Thursday, 27 November 2003)

Star Princessがメルボルンに到着(オーストラリア)

大きくてどっしりとした10億ドルのクルーズ船Star Princessは、ギャングウェイ(=タラップ)の問題から、僅かに遅れてメルボルンに接岸した。

オーストラリア人や各国から来た2,700人の乗船客、1,100人の船員の大半は、メルボルンで1日を過ごすためにステーション埠頭 で 下船し、今晩、ホバートに向けて出発する。この109,000トンの船には、今日、30万ドル相当の食料が積み込まれる。

自らをクルーズ中毒と称するNormanは、10月のメキシカン・リビエラの本船でのクルーズに、大金を支払ったと話している。

「この船は五星のホテルみたいで、バーも、公室も、プールも、すべての設備は何て言うか、そのぉ、この世のものじゃないですよ。本当に 恐 ろしいくらい凄いんだなぁ。」(ABC Regional Online: Friday, 28 November 2003)

フェリーに関する運航規制に船主が抵抗(ギリシャ)

旅客船主協会では、船齢が30年になった船を引退させるという、政府の新しい運航規制に対して抵抗している。

昨日の記者会見では、下院議員はブルッセルでEUの海運当局者と最近会い、ヨーロッパのどこにもそうした規制はないとの指摘を受けたと 話した。

協会では不採算航路で補助金を得るために政府によって徴収されている、3パーセントの課徴金に対しても反対している。そしてエコノ ミー・ クラスの運賃の上限枠の即時撤廃と、第三者の利益になる課徴金の廃止を求めている。(The Kathimerini: 29/11/03)