MS EUROPA
Willkommen an Bord
世界一の豪華クルーズ船とはどんな船か。理想的なクルーズ船とはどんな船か。素朴な疑問だが、難問の一つ
だろう。英国のクルーズの権威者にDouglas Wardという方がいらっしゃるが、彼が出版しているクルーズのガイド
ブックの2001年版で最高の評価を得ている船に、ドイツのHapag-Lloyd Kreuzfahrtenが運航しているEuropaという
船がある。幸い、Hapag-Lloydに勤務する知人から2002年‐2003年版のパンフレットを送ってもらったので、それを
下敷にして、このEuropaという船を研究してみることにしよう。
ところでこのパンフレット、フルカラーで163ページもある厚さ1cmの本であり、しかもすべてがドイツ語で表記され
ている。それはこの船がドイツ市場を対象にしているためだからだが、私の大学時代の第二外国語はロシア語で
あり、ドイツ語は大学に併設されている外国語学校に数ヶ月通ったものの挫折したという程度の実力の持ち主だ
(笑)。そこで、英語で書かれているDouglas Wardさんのクルーズガイドを頼りに、この日本では殆ど知られていな
い、「五星プラス」の評価を得ている名船を紹介していこうと思う。
Das Grand Hotel Auf See
この新船の滑らかな外観は、たとえどんなに批判的な乗客であっても気に入れられることだろう。流れるようなラ
イン、優雅な輪郭、よく知られたHapag-Lloydのオレンジと青の煙突。艫のリド・デッキに立って見下ろしてみると、
(最近の非常に多くの船にある箱型のものと違った)優雅な船尾の広々とした滑らかな曲線を見ることになるだろ
う。
Europaは「ポッド」推進を導入した最初のHapag-Lloydの船であり、性能と操作性を向上させている。外洋におい
て大変に安定した船であり、全く振動がない。また寄港地観光のために使用する7隻のゾディアック上陸用船を搭
載している。左舷と右舷に、靴を洗ったり更衣したりする部屋も備えられている。裸になって日光浴を楽しむ人達の
ためのFKK (FreiKoerperKultur)甲板や、すべてがチーク張りの船を一周できる屋外の遊歩甲板、スポーツのため
のジョギング用トラックがある。甲板のラウンジ・チェアーはチーク材でできた肘掛で、アルミ製だ。
Europaは世界で最も広々とした船だ。この船は、前の(大きかった)Europaと交替したものだが、以前のEuropaは
17年間の歴史の中で、忠実な熱狂的ファンを持ち、サービスの水準について高い評価を得ていた(最後の2年間を
除く。このときは頑固な労働組合員のせいで、明らかに水準が低かった。)。
船の大きさを小さくし、新船の乗船客の人数を減らすことによって、Hapag-Lloydは乗客の期待と要求に応えるこ
とのできる高い水準に到達し、維持することができている。この船の大きさ(全長と全幅)は前のEuropaに大変に近
いものだが、それにもかかわらず乗客数を200人以上減らしている。そのため乗客1人当たりの広さは信じられな
いくらい広く、一度にすべての乗客が主たる公室の椅子に座ったとしても、混雑することは少しもない。
世界でもっとも広々とした船であると共に、美しい船でもある。良質の優しい調度品がインテリアに採用されてい
る。現代的なものを採り込んだ伝統的な意匠で、素材は巧みな方法で使われている。Europaには幾つかの公室
と、極端に天井の高い廊下がある。これにより信じられないくらいの広さと壮大さが感じられることになる。船内の
装飾には明るい色が使われ、ドイツ語圏の乗客用の船にしては、より現代的なデザイナーの声が感じられる船だ。
前のEuropaのように、公室にはClub Belvedere(ここでは午後の紅茶やくつろげるクラシックのリサイタルが通常
開かれる)、Grand Lounge(この船の主たるショーラウンジ)があり、Grand Loungeには幾つかの柱があるものの、
座席がU字型に配列され、適切なステージがある。美術品の多くは前のEuropaから持ち込まれたものだ。そのため
常連客は親しみを感じるかもしれない。さらにClipper Lounge/Bar(天井が高い)、Steinway babyグランド・ピアノの
あるAtrium Piano Bar(受付と寄港地観光窓口の反対側にある)、Hapag-Lloyd Cruisesにとっては過激な試みだ
が、ルーレットやブラックジャック・テーブル、数台のスロットマシンのあるCasino Royalがある(前のEuropaにはカジ
ノの類はなかった。)。
曲がりくねった屋内のプロムナードには、堂々たる歩道、Havana Bar cigar loungeもある。Havana Barには、3つ
の大きなガラス製の温度調節機能付き煙草貯蔵箱が備えられており、キューバ製やその他の国々の煙草が用意
されている。用意されている煙草には次のような有名な銘柄がある;Avo Uvezian、Cohiba、Cohiba Linea 1492、
Davidoff、Griffin's、Montechristo、Partagas、Romeo y JuliaそしてSancho Pansaで、102mmから232mmのものだ。
バーにはまたarmagnacs、calvados、cognacsも用意され、すべてはテーブル・サイドにある。
他の施設としては、豊富な蔵書の図書室(24時間開放)があり、そこでは平面スクリーンの2台のコンピュータでイ
ンターネットに接続でき、アカウントを取得して秒単位の料金で使用できる。小さな映画館、会議室、(工芸美術の
ための)趣味の部屋、2つのシャッフルボードのコートもある。
もう一つのHapag-Lloyd Cruisesの新しい試みとして、2基のガラス張りのエレベータがある7層の中央アトリューム
がある。エレベータは、乗船した日に「ピッコロ」により動かされる。そして一番下の階層のロビーには、Steinwayの
グランド・ピアノとロビー・バーがあり、受付窓口、コンシェルジュ窓口、寄港地観光窓口がある。
他のものとしては、ビジネス・センター、電動ゴルフ・シュミレーション室(屋外の甲板にはゴルフや卓球のコート、
シャッフルボードのコートもある)、子供のための特別室(ビデオ・ゲームができる)、そして趣味の部屋(美術工芸
のためのもの)がある。すべての乗客が、経験豊かなコンシェルジュを、船上と陸上におけるいかなる特別の取り
計らいのためにも利用することができる。
Europaが本当に秀でている領域の一つが、良質の知性的な娯楽プログラムだ。一流のクラッシックと現代音楽
の音楽家によるプログラムが常にあり、同様に専門家による良質のプログラム、詩の朗読などがあり、時折、華や
かなプロダクション・ショーが催される。
スパにはスチーム・ルーム、サウナ、2つのシャワー室、2つの足を洗う所、その他ジム、美容室がある。
Lancasterはよく知られたドイツの化粧品会社だが、スパを運営しており、幾つかのタイプのマッサージと他の多く
の元気回復のための処置がなされている。1日中、スパを借り切ることもできる。
車椅子利用者はプール・屋外甲板から救命艇があるところに降りて行くことができる特別のタラップがあることに
注目すべきだ。この船が引き渡されたとき、ドア(とりわけ防火扉)の敷居には、幾つかの小さな出っ張りが船中に
あった。現在はその幾つかにタラップが付けられ、あるいは空気を通さないゴムが張りつけられた通路と交換され
た。そのため現在では車椅子での利用がし易くなっている。もっともこの評価を終えたとき、他は修正していたよう
なのに、車椅子対応のトイレは、リド・デッキ8の屋外にあるパブリック・スペースのトイレだけだった。
この船は、今日の新しいクルーズ船の中で、議論のあるもっとも豪華で最良のものを船上で欲するすべての人に
アピールすることだろう。ドイツ語圏の市場において、これに類するものはない。大抵は若く熱心な、そしてよく訓練
された船員、彼らの目標は乗客を最も贅沢な方法と良質の環境の中でもてなして喜ばせることにあるが、それと共
に、現代的な環境の中で豪華クルーズの伝統を最大限表現している。子供部屋はあるものの、Europaはフォーマ
ルとインフォーマルとが一つになった、静かで洗練された環境の中でクルーズする、真に大人のための船だ。
この船の評価が何故こんなに高いのかと聞くかもしれない。そうだね、それはこの会社が優れている一人一人の
乗客に心地良さを与えるちょっとした細かなことや並み外れた親切にある。もし暑い日にプールでリラックスしてい
たら、甲板のスチュワードはデッキ・ラウンジ・チェアーを用意するだけではなく、タオルとマットレスを用意してくれる
だろう。また飲み物を用意し、冷たいタオルを持って来てくれ、日光にあたっている間、涼しくするために良質の蒸
留水を吹きかけてくれるだろう。当然のことながら、本物のグラスだけが屋外の甲板のプールで使われている。プ
ラスチックのグラスなど使われたためしがない。ありがたいことだ。パブリック・スペースのトイレでは、花や、水差
し、(紙のタオルではなく)布のタオルが用意されている。細かいことだが…。
素晴らしい港湾情報が提供される(紙に書かれたものと、テレビ情報システムを経由したものの両方がある)。同
様に現在の他の多くのクルーズ船では見られない多くの図抜けたものがある。すべての港湾税と港湾使用料はす
べて含まれている。さらにチップを払うことは禁じられていないが、流通通貨はドイツマルクだ(注、2002年以前)。
それぞれのクルーズの終わりには、お土産の航海日誌がすべての乗客に提供される。
Eine Reise in die Welt der Genüsse
446席のEuropa Restaurantはすべての乗客を収容でき、すべての食事はテーブルが指定される。乗客はクルー
ズ中、お気に入りのウェイターを指名できる。船首側と船尾側の2つの部分がある。船尾側は船首側に比べ僅か
に高くなっている(そのため緩やかな車椅子用のスロープが用意されている。)。多くのドイツ語圏の船に見られる
ように、喫煙席と禁煙席の両方が提供されている。ウェイター(chef de rangs)とアシスタント・ウェイターは常に貴方
の傍につく方法で給仕する。野菜が銀食器によそわれ、テーブル・サイド・クッキングが行われ、主要料理がプレー
トに載せられて提供される。
テーブル・セッティングは良質の陶磁器、150グラムの銀食器、そして優れた品質のグラスで行われる。料理は大
変に国際的なもので、多くのドイツ人が好むものの他、世界中の料理が提供される。食材の質は飛び抜けて高
い。高い等級のベルーガ、キャビアは注文をすれば提供される(別料金)。広範なワイン・リストがあり、この中には
良質のワインの他、オーストリア、ドイツ、スイスのワインの、飛び抜けて上等でバランスの取れたワインの取り合
わせがある。
選択できる食堂としては2ヶ所のくつろげる所がある。Oriental Restaurantは、ヨーロッパ、アジア料理であり、
Veneziaは、イタリア料理である(そこではオリーブ・オイルと葡萄の選択が優れている。)。いずれもメイン・レストラ
ンに近接して前方にある。そしてそこでは良い環境の下、よりくつろいで食事をすることができる。予約が必要で、
追加料金はかからない。Oriental Restaurantは、カスタム・メイドの良質の陶磁器が使われ、Veneziaも同様であ
る。
より気取らない食事をするには、Lido Cafeで朝食、昼食、夕食をセルフ・サービスで摂ることができる。屋内、屋
外に座席があり、屋内・屋外に長いバーもある。良質の陶磁器と音楽が流れる夕食が提供され、テーブル・サイド
のサービスは、標準のものとなっている。
In der Welt zu Hause
客室は4ヶ所に配置され、12の価格帯がある。すべては海が見えるスィートだ。2つのペントハウス・グランド・スィ
ート(Hapag と Lloyd)、10のペントハウス・デラックス・スィート(Bach、Beethoven、Brahms、Handel、Lehar、Haydn、
Mozart、Schubert、Strauss、Wagner)、156のプライベイト・バルコニー付きスィート、36のスタンダード・スィートがあ
る。身障者向けの2つのスィート(プライベイト・バルコニー付き)、ドアで連結されている8つのスィート(家族連れに
最適)がある。殆どすべてのスィートには、チーク材の手摺を使った、透明のガラスで覆われた明かりの点くプライ
ベイト・バルコニーがある。多分、捜し求めていた客室が、船尾を見渡せる12のスィートだろう(2つの甲板に6ずつ
ある。)
それぞれのスィートにはツイン・ベッドのある就寝エリアがあり、それはクィーン・サイズのベッドに転換できるもの
だ。2つのランプ付きのベッドサイド・テーブル、2つの引出しがある。カーテンで仕切られたラウンジ・エリアには、楓
材をつかった飾り棚と(淵を丸くした)アクセントがある。設備には、ミニバー・冷蔵庫(ビールとソフト・ドリンクが無
料)、鏡台、そして仕切られたラウンジ・エリアには長いテーブルにソファがある。装飾された歩いて入っていける収
納室には、洋服をかけるレールの空間がたっぷりあり、6つの引出し、金庫(スィートのキーカードかクレジット・カー
ドで開けることができる。)、傘、靴べら、洋服用のブラシがある。ヨーロッパ風のクッションや、他のクルーズ産業
に先駆けた、フルカラーの船内新聞、Die Welt(日曜日はWelt am Sonntag)が用意されている。殆どすべてのスィ
ートは、視界が妨げられることがなく、防音に優れている。
他のクルーズ産業に先駆けて、素晴らしいテレビ・コンピュータのモニタがあり、「インフォテメント」システムが、24
時間無休で、ビデオ、オーディオのサービスをしている(無料)。映画が観たかったり、特別のCDを聞きたかったり
したときは、それを選択することが可能だ。このインフォテメント・システムは、冷蔵庫やテレビも収納されている飾
り箪笥の中にあるコンピュータによって制御されており、キーボードは鏡台の近くの引出しの中にある。レストラン
の座席図、メニュー、寄港地観光ビデオ、その他の情報のビデオも用意されている。キーボードからは、Eメールを
送信することも可能だ(Eメールアドレスは、切符か他の文書に記載されている。)。現代的な(データ)ソケットも用
意されているので、自分のノート・パソコンを持参することもできるだろう。
すべてのスィートでは24時間のルーム・サービスがある。歩いて入っていける収納室には、長い航海でも十分な
洋服を吊るすスペースと、収納スペースがある。それぞれには完全な空調システムが完備されている。西欧人の
執事と船室係がいる(執事は第10甲板の12あるプレミアム・スィート、船室係は他のすべてのスィートに付く)。
白、灰色、シーグリーンの大理石が敷き詰められた浴室は、大変良く設計されたもので、明るい装飾で、洗面道
具を入れるのに丁度良い大きさの2つの飾り箪笥がある。すべての浴室にはガラスで仕切られた広いシャワーの
他、浴槽が付いている(加えて不可欠のシャワー、引っ込めることが可能な物干しもある)。厚手の綿100パーセン
トのバスローブが用意され、スリッパ、洗面道具用の棚がある。
貸し切りでより広い生活空間を求める向きには、第10甲板の2つのペントハウス・グランド・スィートと、10のペント
ハウス・デラックス・スィートがある。これらには、チーク材を使った玄関があり、広々とした居間にはフルサイズの
食卓と4脚の椅子、執事がサービスする冷蔵庫に常に用意されている飲み物、来客用のバー、洗濯とアイロンがけ
のサービス、スパの優先予約、キャビア(注文すれば何時でも用意される)、手作りのチョコレート、カナッペ、他の
素晴らしいものが追加料金なしで提供される。加えて、2つのペントハウス・グランド・スィートには、サウナ付きの広
い浴室があり、操舵室の上の最良で最高に静かな所から、広々とした前方を見渡せることができるのだ(残念なこ
とに、ぐるりと取り囲むようなバルコニーが付いていないが。)。そして32インチのテレビがある。
身障者用のスィートは広く、水圧式の電動ベッドが用意されている。浴室には広いシャワー・エリアがあり、すべて
の備品は正しい高さに取り付けられている。
欠点
多分、(ヘルス・スパの近くにあった)屋内のプールが、前のEuropaに乗船してクルーズした多くの常連客に見過
ごされるだろうが、欠点は殆どない。2つのもっとも大きなペントハウス・デッキのスィートのバルコニーが、狭くて細
いことくらいか。
| Ratings | Possible Score | Score Achieved |
Ship |
500 |
479 |
Accomodation |
200 |
189 |
Food |
400 |
369 |
Service |
400 |
358 |
Cruise |
500 |
460 |
Total |
2000 |
1855 |
28,437 G/T
Length: 198.6m
Beam: 24.0m
Draft: 6.1m
Pass. Capacity (basis 2): 408 (all berth): 450
Total Crew: 264
Builder: Kvaerner Masa-Yards (Finland)
Cruise Line: Hapag-Lloyd Kreuzfahrten
*なお客層について聞いてみたところ、やはり裕福な高齢者が大半を占めるとのことでした。
From Douglas Ward, Berlitz
Complete Guide to Cruising & Cruise Ships 2001 (2000)
02/03/20