映画「白い船」の感想 ―いわゆる「病んだ船マニア」にこそ見てもらいたい映画―


 私の主宰するメーリング・リスト、「船旅・旅客船研究会」に投稿した映画「白い船」の感想を掲載致します。実は

大幅に書き直そうかとも思ったのですが、映画を見た直後の印象を記録しておく方が良いかと思い、手直しは最小

限にして掲載することにしました。

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 今日、9月1日は「映画の日」。入場料1000円で、しかも日曜日。前売り券(1300円)よりも安いということが事前に

分かっていたので、この日を狙って、あの「白い船」を見てきました(遂に見たぞ、「白い船」!!)。実は当地での公

開は、8月31日(土)から9月13日(金)までの2週間なので、今日見外すとテレビ放映か、ビデオ販売を待つしかな

い状況だったのでした(ちょっと大げさ)。その映画の感想です。

 向かった劇場は「札幌劇場」。ここは窓口が一つで、劇場が4つから7つに分かれているという、今流行りのシネプ

レックス(シネマ・コンプレックス)の劇場で、待ち時間の間、客層を見ていました。窓口で「白い船!」と申告してい

る人は、どちらかといえば年配の方や、あるいは子供連れで、ひょっとして「教職員」かなというタイプの方が多い感

じがしましたね(笑)。宣伝は殆どされていなかったようなので、事前の口コミか、私のサイトでこの映画を知ったの

かも知れません(かなり自惚れているなぁ。笑)。

 実は、私は心配だったのです。というのは、これまでテレビの2時間ドラマで、フェリーやクルーズ船が登場するも

のがありましたが、どれ一つとして真艫(まとも)なものがなくて、放映20分で、あまりの下らなさのためにテレビのス

イッチを切ることが多かったからです(大の大人があんなドラマを作って良いのかね。何とか鑑賞に堪えたのは、

「豪華客船クルーズ殺人案内」(ぱしぴっくびいなす)くらい。)。そこで今回もそういう映画だったらどうしようかと内

心、心配していたのです。

 ところが、前の回が終って劇場から出てきた人の中に、泣き顔で出てきた方がいたので、「これは大丈夫そうだ」

と、ひと安心しました。

 本田先生あたりがご覧になると、正に実話の主人公なわけですから、あそこは違う、これはウソだと欠点が目に

付いて、素直に映画の世界に入れなかったかも知れませんが(笑)、私はこの映画を見てとても幸せな気分になれ

ました。

 塩津って、ああいうところなんですね。伊勢の神島(鳥羽市)に似た感じのところかな。子役の俳優も、実際の子

供達とあまり変わらない感じがしました。あの校舎から私のサイトに皆さんがアクセスされてメールを送って下さっ

ていたのかと思うと、それだけで涙が止まらなかったですよ。

 「窓から見える船に乗ってみたい」という気持は、言葉で表現するとあまりにも単純ですが、しかし船に憧れる気

持とか、乗ってみたいと思う気持は、そうした単純・純朴なものなのではないでしょうか。私が船に興味を持ったの

も、考えてみれば港で良く見かけるあの船に乗ってみたいという単純なものでしたし、船のサイトを作ったのも、そう

した船の情報を簡単に検索できたらいいなぁという、実に単純な動機に基づくものでしたから。

 ところで、このメーリング・リストでも再三登場するものに「クルーズ船」と呼ばれる観光客船がありますが、この話

題を多く取り上げると、何故かグループからの退会者がポロポロ現れるのです。これには頭を抱えてしまいまし

た。この理由を、栗田・高成田『ディズニーランドの経済学』(朝日文庫、1987年)を読んで考えてみたのですが、要

するに「クルーズ船」は贅沢品で、これに乗船するということは、「それだけ自分に可処分所得があることの証明」で

もあり、言葉を代えると、「これ見よがしの消費」であって、それは自慢話に繋がり、それが嫌味になるということで

はないかと分析しています。だから、クルーズ船の話題は立場により不愉快な話題にも見えてしまう側面があるの

ではないかと思っています。

 確かに、船に乗船したことを「勲章」みたいにしている幼稚な大人も多いわけで、そうした意識を逆手に取り、ある

いは刺激して旅行会社が切符を売ってきたきらいがありますね。しかしそれが逆に反発も生んでいるようで、集客

に繋がっていないようなのです。クルーズ雑誌が売れない理由も、結局、クルーズ船乗船競争の勝者である「リピ

ーター」だけの読み物になっているからで、その他の読者はそれが鼻について、しばらく読むと離れて行っているの

かと思っています。

 クルーズ旅行の添乗員をしている方が、「楽しかったクルーズは一つもありませんでした。クルーズなんて単なる

大人の道楽に過ぎないのに、クルーズ道みたいになっている客がいて…。」と独白されているのをネット上で目にし

たことがありますが、クルーズ船の添乗員は楽しくはない仕事だろうと容易に想像できます。

 そうした「病んだ船マニア」にこそ、この映画は見てもらいたいですね。船が好きになったときの原点に帰ることが

できるからです。

 窓からいつも眺めていた白い船。その船からファックスが届いた時の感激・うれしさ。これは塩津小学校から私が

初めてメールをいただいた時の感激に近いものではないでしょうか。そして実際に船を目の当たりにすると、それ

は思っていた以上のビックリするほど巨大なものなのです。この映画のクライマックス・シーンである塩津の海で父

兄達の漁船が「れいんぼうらぶ」を出迎えるシーンですが、ドッキリするような船の巨大さを見事に捉えていたと思

います。

 船との交流というと、このメールもフェリーの船上で受信されている方もいるわけで、このメーリング・リストも、映

画「白い船」を地で行っているようなものです。そうした思いがすべて詰め込まれているから、感激してしまったのか

なと思っています。

 最後に映画のクレジットを見ていたら、「取材協力」として本田先生が登場されていましたね。おぉ、と見ていると、

今度は「子供神楽塩津っ子クラブ」として、モデルとなった子供達の名前が出て来たではないですか。

 「あの子からメールをもらったけれど、今、元気かな」と、単なる映画のクレジットを見て感激している「変な人」に

なっていました(笑)。

 以上、とりとめのない感想ですが、こうした映画を作ってくださった監督をはじめとする映画関係者の皆さんには

本当に感謝したいし、塩津小学校の皆さんには「良い映画を作ってもらえてよかったね」と申し上げたい気持で一

杯です。

 それにしても「れいんぼうらぶ」、美しい船ですね(船首舷側のランプは玉に傷だけれども、これは船マニアの戯

言、笑)。デザイナーに会ってみたいな。(2002年9月1日)


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02/09/30